東京矯正歯科学会

アシスタントドクターの中嶋です。

東京矯正歯科学会

先日、東京矯正歯科学会大会に参加してきました。今回で第74回ということで、とても歴史のある学会です。学術発表では日大松戸の後輩が新しい材料の開発について口演していました。頑張って欲しいです。

また、日本矯正歯科学会の認定医資格更新のための症例発表も行われていました。同じく日大松戸の先輩が症例発表をされていましたが、これも素晴らしい仕上がりでした。同窓の活躍にはいつも勇気づけられます。

 

ところで、今回はもう一つ興味深い講演があり、日本矯正歯科学会認定医の倫理規定(ホームページ等の広告について)について新たな規定が報告されていました。

その中には、ブライダル矯正、プチ矯正などと並んで当院のコンセプトの一つである「スピード矯正」という言葉が日本矯正歯科学会の会員として用いる言葉としてふさわしくないという指摘がありました。

美しい歯並び

「スピード矯正」は確かに学術用語ではありません。なぜならば、これは深沢院長が1996年に「歯を削ったりせずに歯を動かすことにより、その人のニーズに合った期間で治療すること」と定義した言葉だからです。患者さんのニーズに合うように治療期間をコントロールすることが目標です。銀座矯正歯科のスタッフとスピード矯正研究会の会員が使う「スピード矯正」は上記の意味です。

ネットで「スピード矯正」と検索すると色々な意味で定義されています。

矯正用インプラントを併用した矯正治療を「スピード矯正」と定義している医院があります。矯正学会「的」にいえばこれは「矯正用アンカースクリューを併用した矯正治療」です。矯正用アンカースクリューの使用目的は歯を動かすための絶対的な固定源です。これは治療目標達成に役立ちますが、固定を強化することが治療期間の短縮につながるでしょうか。

そして名前を変えてもインプラントはインプラントです。ICOI(国際口腔インプラント学会)のインプラント矯正認定医はインプラントのトレーニングを受けています。

前歯をセラミックの被せ物で治療することを「スピード矯正(セラミック矯正)」と定義している医院があります。

1回目は被せる歯の形成(歯を削り、被せる歯の位置関係によっては神経を抜いたり、抜歯するかもしれません)と型採り、2回目でセラミックを被せて終わり。患者さんが求めれば全く問題ない治療です。

でもちょっと待ってください。これは補綴(被せ物)治療であって、矯正治療ではありません。常識的な歯科医師「的」にいえば「最短2回の治療で歯並びをきれいにする被せ物治療」です。

銀座矯正歯科とスピード矯正研究会員の「スピード矯正」は「歯を削ったりせずに歯を動かすことにより、その人のニーズに合った期間で治療すること」です。

そのためにはセルフライゲーションブラケット(ワイヤーとの摩擦を減らすことで歯の動きをスムーズにする装置)、超弾性ワイヤー(ニッケルチタンなどの形状記憶合金で作られ、ガタガタの大きい部分でも装着できるワイヤー)、矯正用アンカースクリュー(矯正用インプラント)、レーザー照射(低出力のレーザーを当てることで歯周組織の代謝を上げる処置)、外科処置(銀座矯正歯科ではコルチコトミー、ヘミオステオトミー、オステクトミーなどの骨の代謝を上げる処置)、栄養指導など、治療期間のコントロールに関わる全てを組み合わせています。

効果が実証されるならばアクセルデント(高周波装置)を使うこともあるでしょう。ただ、何よりも大事なことは基礎的な矯正学のトレーニングです。基礎無くして応用はあり得ません。

銀座矯正歯科とスピード矯正研究会は、矯正治療期間のコントロールに関わる全てを研究対象にしています。

寿谷先生がコルチコトミー併用矯正を発表されたのが1973年。深沢院長が寿谷先生に師事したのが1997年。スピード矯正研究会は来年で10周年を迎えます。深沢院長が「スピード矯正」を定義してから10年です。

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スピード矯正研究会も歴史を積み上げています。

銀座矯正歯科 中嶋亮