銀座の矯正歯科で集団訴訟

歯科治療

歯列矯正トラブルについて、312人が総額4億5000万円の損害賠償を求め集団提訴を行うと先日報道されました。

この訴訟は、銀座の矯正歯科「デンタルオフィスX」の「マウスピース矯正のモニター商法」が中心となっています。

まず、ここで心から被害を受けた人々に対して深い同情の意を表明します。

今回の報道の内容は簡単に言いますと、マウスピース矯正を用いた投資詐欺案件です。モニター(患者さん)は治療費をローンで支払い、その後毎月キャッシュバックがあるため、実質無料で治療を受けられるというものです。

312人の集団訴訟では以下のようなケースも…

苦悩

損害額150万円の女性(54歳):「治療を放置され、歯がキレイに治るかどうか不安です」

損害額160万円の女性(26歳):「自分の歯を美しくするための治療が無料と言われましたが、騙されました。結婚を考えていたので、この部分に大きな不安があります」

被害額160万円の女性(26歳):「すきっ歯のままだと不自然ですし、みんながマスクを外し始めている中で、自分だけが外しにくい。このような被害額を改めて聞くと、本当に許せない」

涙を流しながら未来への不安を表す女性たち。

この訴訟トラブルが始まったのは、彼女たちが申し込みをした銀座の矯正歯科「デンタルオフィスX」の無料モニターからです。

モニター商法のスキームとは?

訴訟トラブル

銀座の矯正歯科「デンタルオフィスX」のモニター商法では、187万円の契約を結び、その後クリニックから毎月5万円のキャッシュバックがあるという形で、事実上の無料歯科矯正治療を提供していました。

しかし、昨年3月、突然クリニックから連絡があり、関連会社「アーサー」からは次のようなメッセージが送られました。

「(謝礼金の)お支払い日の延長をお願いさせて頂きたいと思っております。ウクライナ、ロシア問題などの海外情勢の影響で、海外口座からの送金取引が停止しているということが、主な要因です」

しかし、、

その後、返済は一切なく、23年1月には銀座の矯正歯科医院が閉鎖されました。 治療も返済も放置された153人の女性患者、運営会社「グランシールド」などに対して集団訴訟を起こしたのです(4月には刑事に詐欺罪などで告訴状を提出)。

被害相談はさらに増え、6日には新たに159人が参加し、合計で312人が総額4億5000万円の損害賠償を求めて集団を起こすこととなりました。

被害者代理人の弁護団長、加藤博太郎弁護士は、「312名が集団訴訟すのは、非常に珍しい事件だ」と述べています。

契約書偽造?支払いには応じない?

偽造?

取材を進めてきた番組によると、「グランシールド」の中村佳敬社長は、関連会社「アーサー」小島隆一社長の提案により、虚偽の説明を行っていたと釈明しました。

中村社長「返金の遅れがウクライナ侵攻と関係があるかという質問ですが、私は全く関係がないと考えています。この問題が起きた当時、アーサーの小島氏は患者向けに返金ができない理由を説明する文書を作成していました」同氏は、ロシアとウクライナの間で始まったばかりの戦争のため、支払いの遅れが正当化される可能性があると示唆した。」

中村社長は責任を認めているが、患者への返金は進んでいない。それどころか、女性たちの契約書が改ざんされていたのではないかという新たな疑惑が浮上している。

加藤弁護士:「クリニック側の主張は、『グランシールド』の『E』が入っているかどうかです。『この印鑑(『E』が入っていない)は偽造されたものなので、今後は支払いません」と主張しています。

女性の契約書には運営会社「グランシールド」の刻印が押されます。オリジナルと思われる刻印と比較すると、社名の「E」が欠落していることがわかります。

被害者(26歳、女性、被害額160万円):「改めて見てみると『E』がないのですが、『E』がないから返金義務がないというのはおかしいです。」

被害者(54歳、女性、被害額150万円):「聞いた瞬間、詐欺だと思いました。最初から騙すつもりだったんだと。」

加藤弁護士「最初から偽造だったという言い訳をしようとしているが、準備していたとしか思えない」

集まった20億円は行方不明のまま

お金

女性らから集めた金は総額20億円とされる。いったいどこへ消えてしまったのでしょうか?

中村社長「お金をだまし取る意図があったのかとの質問ですが、全くありません。歯のクリーニングをされた方に広めていただければ良い宣伝になるのではないかと考えてモニター募集を始めました。 20億円がどこにあるのか分からない。」

女性らが起こした集団訴訟の被告3名は、中村社長、小島社長、伊藤武英医師…。

中村社長:「弁護士と相談しながら対応していきたい」

小島社長の担当弁護士「現時点でメディアを通じてコメントすることは考えていない」

伊藤歯科医師:「訴状は届いていないのでお答えできませんが、昨日東京に開業したクリニックに勤めておりますので、患者さんを受け入れる準備はできています。」

また、報道で印象に残ったのは、セカンドオピニオンを提供した歯科医の著しく的外れな発言だ。「出っ歯はまだ治らない」「埋め込まれた歯を抜くのにはマウスピース矯正は適さない」などの発言が、マウスピース矯正そのものを否定するものとして報道されました。

三者の意見は異なるようですが、噛み砕いてみましょう。

この事件の中心人物は、クリニックを運営する「グランドシールド」の中村好孝社長と、モニターを管理していたとされる関連会社「A社」の社長、歯科医師の伊藤剛秀氏だ。

訴状によると、この3人は共謀して歯科矯正モニターのシステムを作成したという。2019年に始まったこの制度では、患者はまず銀座の矯正歯科医院とモニター契約を結び、「治療費」として約160万円を支払う。一括で支払えない場合は、クレジットやローンを利用することも可能です。するとクリニック側は「モニター報酬」としてキャッシュバックを提供し、「実質無料」となる。

原告側弁護士は6日の記者会見で「実態は無料モニター患者がほとんどだった」「明らかに詐欺的で失敗必至のモニター事業だった」「健康被害や健康被害など重大性は高い」と指摘した。経済的損失を引き起こす」

弁護団によると、原告以外にも銀座の矯正歯科の無料モニターは約1700人が集まり、集まったお金は20億円に上るという。

中心人物3人の主張はこうだ。

運営会社「グランドシールド」の中村社長は弁護士を通じて「これまでも集団訴訟の話はあったが、訴状はまだ送達されておらず、コメントする立場にない」とコメントした。しかし、以前のテレビ朝日の取材では「2021年夏ごろに資金が足りなくなった」「(資金を)だまし取るつもりはなかった」と答えていた。

関連会社「A社」の社長と相談している弁護士によると、「現時点でメディアを通じてコメントを発表することは考えていない」と述べ、取材には応じていない。

伊藤医師は以前、テレビ朝日のインタビューで「利益を3人で折半しようという考えからスタートした」と語った。しかし、運営会社の無差別なモニター会員増員と意見が衝突し、2021年夏にクリニックから追放され、その後も顧客獲得のために無断で名前が使用されたと主張している。

当該歯科医師は、マウスピース矯正の専門知識を欠いているだけでなく、通常の矯正治療に対する理解も不明確な一般歯科医師であった。

マスコミはもっと責任ある報道をしてほしいものです。

マウスピース矯正と真剣に向き合っている私たちにとって、これは迷惑以外の何物でもありません。

あくまで手段

マウスピース

マウスピース矯正はあくまで手段、道具であり、使い方は歯科医師次第です。

正しい診断とマウスピースの適切な設計が最も重要です。正しく使用すれば、マウスピース矯正は本当に良いものです。

 

この銀座の矯正歯科「デンタルオフィスX」の訴訟に関する報道は、マウスピース矯正そのものが有害であるかのように人々を誤解させる可能性があります。

患者さまには正しい知識を身につけていただきたいと願っております。